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最高裁判所第一小法廷 昭和32年(あ)1490号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人庄司進一郎の上告趣意は、事実誤認、単なる法令違反の主張であって、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(第一審判決は、被告人において大野武良志が被告人に対し判示財務局が行う金融検査日時の事前内報方並びに将来監督上便宜な取計いをせられたい旨請託するを承諾し合計現金二四万円の供与を受けその職務に関し収賄した旨判示し、原判決は結局これを是認したものである。そして、被告人がいやしくも大蔵省事務官として判示南九州財務局局長官房総務課文書係である以上、判示のごとき内報をしてはならない職務を有するこというまでもないから、判示のごとき請託を承諾して金員の供与を受けたのを職務に関し収賄したものと判断したのは結局正当である。)

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 斎藤悠輔 裁判官 入江俊郎 裁判官 下飯坂潤夫)

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